おねだり

 せっせと編み物をして「編み道」に邁進していたら、母がジャマをしにやってきた。
「もーう、うるさいなぁ、何しに来たんだよ。」
「おしゃべりに来たのよ!ぼけ防止に!!まったくこの娘は薄情なんだからっ。」
「ぼけ防止なら、一緒に編み物しよーよ。どうせ毛糸を溜め込んでるんでしょ。」
「ダメダメ。もうそんな気持ちになれない。目も手も衰えてるし。」
で、人の編み物本の山を崩している。
「あーら、これステキねぇ。」
「今、何を編んでるの。あたしの分?」
「(課題ニット・未完成を見ながら)これ、出来たら貰ってあげようか。」
なんだ、貰ってあげようってのは。
「だって、今月の25日は誕生日なんだよー。」
「欲しいなら、素直に頂戴って言いなさいよ・・・。大体さ、誕生日なんて嬉しくないでしょ?今更。」
「歳をとるのは嬉しくないけど、モノを貰うのは嬉しいのよ!」
左様でござるか・・・。何にも考えてなかったけど。