亭主デビュー

 今日は、初釜でした。
 初釜とは、茶道における茶事の新年会のようなものです。基本は正午の茶事ですが、濃茶の前に食べる主菓子が「はなびらもち」ってのだったり、床の飾りもお正月ならではのものだったりします。
 去年、お免状を取得した6人が、自分たちのお祝いに懐石をする代わりに、この初釜をメインで仕切るように指示されました。が、6人のうち一人は色々な事情でパスなので、実質5人です。
 茶事が久しぶりで、もはや記憶にないので、先生から本を借りてコピー取ってお勉強です。でも、茶道って私にとっては頭だけじゃなくて体で覚えることなので、いくら文章で読んだところで、結局は完璧ではないのです。でも、内輪での初釜で亭主役、失敗しても笑って誤魔化せる…けど、失敗したらダメじゃん。
 仕切るといっても、料理からするわけじゃないし、お道具は先生のものなので、水屋と呼ばれる裏方業務をメインに行います。私の担当は初炭点前です。濃茶と薄茶は、また別の人が担当。実は昨日の土曜日は直前ということもあって、炭点前をさらってきました。本当は初釜が終わるまでは、新年最初のお稽古はしないんですけど、今回は例年より遅い日程での初釜なので、特別にお稽古があったのです。
 アンチョコというか、カンニングペーパーを見ながらの作業で、間違いも一杯ありましたが、やっぱり茶道は楽しいぜ!と思います。今の自分は全然出来ないし、今後も私が茶事を仕切るなどということは無いと思いますけど、茶事をちゃんとやるためには、まず招待するお客を決めて、茶事のテーマも決めて(季節にも係わります・桜の季節だったら花見がテーマだとか)、そのテーマにあった道具を選んで…。道具も、ただテーマが分かりやすいだけのものじゃなくて、ちょっとひねったり、見立てを加えてみたりするのも、よろしいですな。そして、濃茶と薄茶も選ぶぞー。大抵は、家元のお好みの銘柄ですが、お詰め(メーカー)が代わると味ももちろん違いますので、銘柄と味を加味して選ぶのが良いでしょうねぇ。おべべは、お道具を引き立てるためにも、色無地で。きっとお客がステキな装いで、花を添えてくれるはず。花!といえば、床に飾る茶花も重要です。お客を迎えたときの花がしおれていたら、興ざめですから。
 お道具なんて、兄ちゃんが買ってくれた茶碗くらいしか持ってないけれど、自分で買い揃えるには高価だし。が、最近は先生が、お茶会の前にお道具のことを教えてくれながら、
「どっちがいいかしらね。」
なんて話をしてくださるので、そういうのは楽しいです。(私だけに聞いているのではなくて、みんなに聞いているのですが。)
 お茶事の当日は、はるばる来てくれたお客に楽しい気持ちのまま帰ってもらえるように、おもてなし。
 それが出来たら、私は完璧な茶人になれるけど、そこまでの道は遠いのであります。
 遠方から来ていて、電車の時間があるので早めに帰らねばならなかった友人と、終わったあとのメールで、
「至らない亭主役ですみませんでした。」
とメールしたら、
「お疲れさまでした。でも、良い経験ができて羨ましい。」
ですと。そうなんだよね、茶道は好きだけど、付随してくるモロモロのことに、いっそ茶道を止めたら楽になるって思う私なんですけど、茶道そのものは好きだって思うし、止めたらそこで終わりになって、今まで16年ほどやってきたことが、全部泡みたいになってしまう、本当は茶道を続けたいのに、結婚や出産・育児のために、泣く泣く茶道をあきらめた人もいるんだから、もうちょっと頑張ろう、と思います。