ヘタウマ

 朝、製造部のS部長がやってきて、うちわを差し出すので、私にプレゼントかなと思ったら、孫に送りたいので郵便局へ持っていってくれ、という話でした。
 最近は書類を送付するのに、郵便じゃなくてクロネコメール便で出していて、これはヤマトさんが引き取りに来てくれるから大変にラクチンなのであります。そんなわけで、
「最近は郵便局にお使いに行ってません。」
と断ったのに、
「行けよ。」
って言われました。何でじゃ。つか、会社の仕事に関係するものなら持っていかねばならないでしょうが、孫に送るのなんて、私に関係あるか!
 が、押し問答に負けて(ちなみに、私はいつもこういうことで負けが多い。ゴチャゴチャ言いつつも、シブシブ引き受けるというパターン。なんか損だ。結局は奴は引き受けるだろう、って感じでナメられているような気がしてならない。)、ブツを預かった。
 団扇に可愛らしい絵が描いてあって、部長が孫が云々というから、孫の描いた絵を団扇にしたてて送ってあげるのかと思って、
「いやー、お孫さんの絵は上手ですねぇ。」
って言う寸前に
「うちのカミさんがさ、最初はキンギョを書いてたんだけど、俺が何の魚だって聞いたら、その絵はやめたみたい。」(つまり、キンギョに見えなかったということか)
と部長がのたまって、
『・・・てことは、この絵も奥さんが描いたってことだよな。なんか、大人が描いた絵に見えないけど・・・、これがヘタウマってやつだろうか。いや、実はスゲー上手なのに、孫に合わせてこういう絵を描いたんだよ、そうだそうだ、そうに違いない。』
ということに気付き、
「いやははは、可愛らしい絵ですよねぇ、いやはははー。」
と答えた私でありました。
 ボーナスの前に、うかつな発言はできねぇぜ。