ひとりむすめ

 一人娘とか一人息子というのは、一人っ子のことを言うかと思っていたら、最近はそうでもないのか、最初から認識が違っていたのか。
 大枚はたいて買った電子辞書には広辞苑が収録されているので早速調べてみたら、一人娘の場合は
『他に姉妹がいない娘』
とある。じゃあ、兄弟はいるけど姉妹がいない私も一人娘って言うのかなぁ?
 それはともかく、先日の飲み会で、のん兵衛の男どもは、ビールから焼酎に切り替えた。そして、銘柄についてあれこれと話し始める。興味が無いわけじゃないけども、基本的に自分が飲めないから銘柄なんて覚えるまでも無い、という私は聞き耳を立てておりました。そこで、ヒトリムスメなる銘柄の酒があるという情報をもたらした人が…。そしたら、酔いが回っている紳士たちは、妙に盛り上がっている。
「そんな、おっかない名前の酒には手が出せないなぁ。」
「独身男性は、特に手が出せない。」
なんて笑っている。そこから、子供の性格の話になった。そこで、同僚のN氏が
「うちの長男はともかく、その下の娘を見てると、本当に要領がいいなぁって思う。」
末っ子が一番要領が良くなるという話だ。そういう話はよく聞くけれど、私は末っ子ながら要領がいい人間とは思わないけどなぁ…。が、N氏が続けて
「うちの娘を日々見て、たじんこちゃんを会社で見てると、なんか納得がいく。」
私も兄が二人いる末っ子で女の子供は一人、という状況なので、性格が似るということなんだろう。
「じゃあ、今から覚悟しといたほうがいいね。」
と返事をしといたが、考えてみたら失礼な話だ。
 私の兄弟は、兄同士が6歳違い、次兄と私が7歳違い、と年が離れている。なので、兄弟としての関係が希薄なほうだと思う。お互いが常にまったく違う環境におかれていたのだ。長兄なんかは、私が小学生にあがるころには他県の大学へ進学して一人暮らしをスタートさせて以来、ずっと別居である。私の意識としては、末っ子というより一人っ子に近いと思う。ただ、最後にポコっと出てきた私が女だったため、両親がかなり甘くなったことは否めない。兄貴たちも、末っ子はずるい、と思ったことが多々あったらしいが、女の子だからな、ということでなんとなく納得していたようだ。
 まぁ、考えてみると、末っ子というのは親や兄弟が何でもお膳立てしてくれることが多くて、ぼんやりしていてもコトが終わっている、というのはあるかもしれない。