マルコメ君

 えー、毎日のように届く宅急便をチェックして、そのうち部品らしきものを台車に乗せて持ってくるのも私の仕事であります。たまに忙しいときはサボりまして、あとですごい量になって一人泣いているのであります。うそです。泣いたりはしません。強い子です。強くて恐ろしい子です。ガラスの仮面のマヤなんかメじゃない。
 それはともかく、今日も今日とて、台車に箱を載せていたら、想像していたより重い箱がありまして、
「うおりゃー!」
という気合声と共に荷物を台車にドスン!と置いたのであります。ふと顔を上げると、マルコメ君(18)が
「お、お世話になります・・・。」
と小さくお辞儀をして玄関へ去っていきました。
 そういえば、今日は新規採用の試験ということで、来年高校を卒業するピチピチボーイ&ガールが来社なさっておられました。忘れてました。
 多分、あのマルコメ君(ちなみに、スポーツ刈りなので勝手にこう名付けさせて戴いた)は、今日、
『あの会社には、怖い女の人が居る!』
って悪夢にうなされる。
 それにしても、うおりゃー、は拙かった。もっと色っぽい路線が良かった。いやん、とか。でも力が入らなそうな掛け声だな。