つめ

 花梨の爪が、もうガマンならんほど伸びているので、爪きりを持ち出して切ろうとしました。が、なぜかこの爪きりが大嫌いな花梨は、ものすごい恐ろしい顔して咬みついてきます。が、本気で咬みついたが最後、本気で怒った私にぶっ飛ばされることが分かりきっているので(たぶん、子犬の頃の記憶が蘇っているんだろうな)、ものすごい険悪な顔で鼻にシワ寄せてガルルルと唸りながら、ソフトにカプ!と咬みついてます。咬みついてるんだか、しゃぶりついてるんだか・・・。
 別に、かつて爪を切りすぎて出血なんてことは一度もないのに、つめに触られるのがガマンならないらしい。
 というわけで、グースカ寝ている隙に切ってみました。
「良く寝てるなー。おー、可愛い顔してるなー。こちょこちょこちょ。まー、かわいいお手手!パチン!」
パチンと爪を切った瞬間に起きて人の手をカプ!と。君、ものすごーく寝起きがいいねー。本当はもう少し切りたいのになー。血が出ないように、慎重に、ピンク色のところを見極めて、先っちょだけ切りたいのに、そんなに暴れたらかえって危ない。
 が、狼のような顔をした次の瞬間、上目遣いになって媚売って、という花梨の表情七変化はとても面白い。今日もチャンスがあったら、つめを切ります。パチン。