スズメのお宿

 以前は田んぼや畑だらけだった近所の風景も、かなり変わりました。農業を継ぐ人がいないために、どんどん宅地化しています。道路の幅は変わらないのに、空き地だったところに家が建って見通しが悪くなると、妙に狭く感じる…。けど、そんな文句はあまりに自己チューな話であります。
 我が家はオンボロなので、近所の新しい家をジロジロ眺めては、ウラヤマシー光線を送っているのですが、気になるのが、いわゆる庭、というのが無いことです。特に私が住んでいる地域では、車が必需品。庭より車を停める場所の確保が優先。車を停車させる場所は、大抵、コンクリートで固められるので、土の部分が無いんですねぇ。うちはコンクリートで固めるお金がないので、昔からドロのまま。雨降ったら、すごいことになってます。
 さて、しかしドロの庭にも良いことはある。母が庭を掃除したとき、大体決まった場所に集めるんですが、そうするとそこの掃きだまりに砂も集まりまして、スズメたちが砂浴びにやってきます。今日も今日とて、シュババババ!と砂を浴びていました。車を停めているのとは反対側の庭は、花梨のナワバリですが、花梨が家の中で昼寝している隙(スキというにはあまりに長い時間だが)に、スズメたちはノンビリと虫をついばんだり、砂浴びしたり。で、花梨が庭のパトロール(と呼ぶには狭い庭だが)に出ると、さっさと飛んで逃げます。一応、猟犬の血が騒ぐのか、いっちょまえに獲物を狙う素振りの花梨ですが、かつて飼っていたネコたちでさえ中々捕まえられなかった野性のスズメが、花梨に捕まえられるわけがない。
 ぼへーっと庭を見ていたところ、ちょっと小さめなスズメが砂浴びしてました。3羽で来ていたけど、親子かな、兄弟姉妹かな。
「最近は、砂浴びもロクに出来ない。」
「ここの庭は、たまに変な犬がいるけど、トロイし、いつも庭にいるわけじゃないから大丈夫。」
「ここの辺り、天気が良い時は砂が乾いていて、浴びるとさっぱりするよ。」
「じゃあ、また来よう。」
って、言ってたりして。スズメのお宿、というよりは、スズメの公衆浴場か。しかも混浴、なんちゃって。