貴公子とアイドル

 先日、某テレビ番組に、あの嶋田先生が出演と知って、暑い中頑張って茶の間で見ました。嶋田先生が、ニット界のアイドルと紹介されていて、あれ?アイドルじゃなくて王子じゃなかったっけ、と思いつつ…。そんな呼び方はどうでもいいほど、すんばらしい嶋田先生のニットの一部が紹介されてました。ただ、おしゃれ工房のように手芸番組ではなくて、嶋田先生御自身を紹介する都合上、一般的な取り上げ方しかされておらず、しかも番組内でパティシエも一緒に紹介されていたので、番組の半分しか先生が出てないみたいで、パティシエの紹介が始まったところで見るのを止めちゃいました。私にとっては、世界一のケーキよりニットのほうが興味あるんじゃー!
 広瀬先生もチラっと出ていて、相変わらずの貴公子ぶりでした。さすがに私が広瀬先生の存在を一方的に知ってから(その当時は編物を自分でやってはいなかったが、母がチラっと編物教室に通っていたので)、結構な年月が経ったわぁ。広瀬先生ご自身は、貴公子と呼ばれるより、そろそろ伝道師と呼ばれたいとおっしゃってましたが、広瀬先生はとっくの昔に伝道師ですよ。だって、編物に興味ない人でも、広瀬先生は知っているという人、多いですもん。
 既に戸締りを済ませた茶の間で暑い中、興奮しながらテレビを見ていて、鼻血が出るかと思いました。
 番組では、伝統的なフェアアイルの編み方を紹介していて、輪編みでグルグル編んだあと、袖ぐりや衿ぐりのスティークを切るという、通常のセーターの編み方では考えられないところを実演していましたね。テレビでちゃんと説明してなかったように思うんですが、確か、スティークを切ることが出来るのは、現地で生産されている毛糸だからこそであって、日本の通常売られている毛糸で同じようにしたら、ズルズルと解けてしまうのではなかったですかね。フェアアイルの本場の毛糸は、編むと糸同士がしっかり絡み合うので、スティークを切ってもズルズル解けずに裏側にまつることが出来ると聞いたのですが。テレビでその部分を説明してなかったように思うんですが…。まぁ、あの部分だけ見て、いきなり真似する人もいないとは思うんだけど。
 それにしても、あれだけの色見本から必要な糸を選び出すには、最初のイメージが確固たるものでないと難しい。音楽と色の表現が同列にある嶋田先生って、すごいですね。
 多分、どちらも普通以上の腕前でこなせるとは思うんだけれど、なんとなく、ニットの貴公子であり伝道師(そしてそのうち殿堂入りするんじゃないか)の広瀬先生はカギ編みで華麗なレース模様のイメージ、そしてニット界のアイドル(って呼び方より、色の魔術師とか呼びたい)は棒編みで色彩豊かな編み込みのイメージが、私の中では定着しています。そして、二人が編んでいる手元は、まるで早送りのようだということが共通しています。