料理教室

 青年部主催の料理教室に行ってまいりました。

 お献立は、茶道を学ぶ私たちにふさわしく、懐石チックなものです。鯛の昆布締め、エビのしんじょ、だし巻き卵、木の芽ご飯、香の物。最後は和菓子と抹茶どすえ。しかし、これら全部を作るわけではなくて、鯛の昆布締めと、エビのしんじょを作るんどす。他は、先生が作ってくれるんどす。(語尾だけ京都弁にしてもサマにならんな。)講師役は、青年部員で、東京で修行してこちらでお店を開いたプロにお願いしました。材料代は出るけど、講師料は無料奉仕です、わはは。
 まず、デモンストレーションで、先生がみんなの前で鯛をさばきます。既に鯛は、ウロコを落として内臓もきれいに掃除した状態で持ってきてあります。なにせ、先生ですから、プロですから、口で説明するより早く、鯛がさばかれていきます。それから、エビのしんじょの作り方もささーっと説明しながらデモンストレーションして、いざ皆で取り掛かります。
 ベテランの料理上手主婦が、鯛をさばき始め、もう一方のベテラン主婦がエビのしんじょに取り掛かり、私は洗い物の係。
「こらこら、たじんこちゃん、あなたも鯛をさばきなさい。」
「え、だって、今日は食べるだけで良いって聞いてきたし。」
「誰がそんなこと言ったのかな?」
「Aさんです。」
Aさんが、慌てて
「こら!ばらしちゃダメ!」
 で、プロの出刃包丁を借りて、途中までさばいてある鯛に入刀です。骨に沿ってゾリゾリゾリーっとしたあとに
「ここから、どうするんでしたっけ。」
「ここをね、開くようにしながら、さらに包丁でね…。」
結局、ベテラン主婦が出刃を握り、さばいております。
 ここで、長ーい包丁(たこびき、と言うらしい)に持ち替えて、皮を剥ぎ取ります。先生がやったときは、シュルーンと取れた皮が、私の手にかかると、ゴギゴギっとこそげ取られ、身もたっぷりくっついた皮が。後から見に来た先生が、身がたっぷりついた皮を手に絶句。
「た、食べるから!ちゃんとそれも食べるから!」
身がついてなくても、皮をごぼうに巻いてナントカっていうのも、あるらしいですよ。アラも捨てずに取っておいて、後でアラ汁にするのだ。
 さて、刺身のように切るのだけれども、昆布締めのときは少し厚めに、という支持に忠実に、厚めに切る・切る・切る。先生みたいにキレイな切り口にならんなー、と調子に乗って切る・切る・切る。先生の包丁を借りているから、道具のせいでないことは確かだ。同じように切っているのに。おかしいな。ブツブツ言っていると、途中からベテラン主婦が切ってくれました。
 鯛で遊んでいたら、いつのまにかエビのしんじょが、出汁の中でプカプカしてます。わー、美味そう。鍋の前に陣取って、出汁の匂いをクンクン。そのすきに、先生はいつの間にか木の芽ご飯を作っていました。
 コンブをお酒で拭いて、鯛の刺身を並べていきます。ミルフィーユみたいだ。そして、ラップでくるんで、冷蔵庫で寝かせます。
 鯛のアラを適当な大きさにさばいてアラ汁に。塩を多めに振って、少し置いて、ささっとお湯にくぐらせて、流水で洗います。これで、ウロコなどを完全に取り除くのだ。昆布と一緒に鍋に入れて、水も入れて加熱。ここで、昆布をドーンと投入して、
「たじんこちゃん、そんなに昆布入れちゃって…。」
と周囲がたじろいでました。
「いい出汁がどーんと出ますよ!」
 お漬物は切るだけさ、ということで、沢庵を渡され、普通に半月に切る私。そして、シッポの方をポイと口に放り込んで味見。
「あ!つまみ食いしてる。」
「味見しないと。」
「じゃあ、私も。」
皆で沢庵ポリポリ。その間に、ベテラン主婦がナスと野沢菜を切ってくれました。で、私は切ったお漬物を大皿にドーンと並べて盛ってしまったけれど、他のグループを見たら、ちゃんと個別にちんまり盛り付けている。すごいところは、飾り切りもしてる!
 そろそろ盛り付けが始まり、私は鯛を盛り付ける係。自分で厚く切ったのが災いして、盛り付けもなんだかモッタリ。
「たじんこちゃん、中央が高くなるように盛り付けるのよ。」
「はい。でも、切り身が厚くて、全体にモッサリします!」
「わかった、好きなように盛りなさい。」
一応、気持ちだけ中央を高くなるように盛り付けて、脇に菊と茗荷を添えます。そして、加減醤油。
 モタモタしているうちに、ベテラン主婦たちによって、片付けも済まされ、あとは食べるだけ。主婦が先生に鋭い質問を投げかける試食タイムの中、もくもくと食べる私。うーん、おいちい。鯛のアラ汁は、とってもいい出汁が出ている。アラ汁は、本来の献立じゃなかったので、本当は魚の臭みを取るために、ネギとか生姜も使うといいらしいです。身がたっぷりついた皮も食べます。
 お腹が一杯になったので、お菓子はパスして抹茶だけいただいて、最後の後片付け。
 これを書いていてハッキリしましたが、私がちゃんとやったのは、鯛の調理一部と沢庵のカットだけですね。あとは、食べて遊んでいただけか。