おのぼりさんはお疲れです

 東京に親戚がいます。子供のときは良くお世話になりました。というのも、父が身体が弱かったもので、私が子供の時にはすでに家族旅行なんてものは存在しておりませんでして。家で一人遊びしてるのも嫌いじゃなかったですが、友達が時々遠くへ連れていってもらっている話を聞いて、かなり羨ましかったです。特に、夏休みは皆、大抵海や山へレジャーに出かけるじゃないですか。私の夏休みの思い出と言ったら、長兄が自転車の後ろに私を乗せて連れて行ってくれていた東宝アニメ祭り(って名前だっけ?)ですよ。ビバ!ドラえもん、ですよ。
 さすがに不憫に思ったのか、東京の親戚が、夏休みに遊びにおいで、と誘ってくれまして。泊まりで行っておりました。が、そのうち私は気付いてしまいました。東京にしばらく滞在していると、体調を崩すのです。特に頭痛が酷くなる。人間が多いせいかな、空気が田舎と違うからかな。
 いつの間にか、東京ってちょっと苦手なエリアになってました。お買い物とかはね、楽しいけどね。
 で、何の因果か、東京の親会社に行くことになりまして。うーん、入社して10年以上だけど、親会社に行くのは初めて。というか、普段はそんな仕事してないですからね。しかし、3時間の会議に出席(会議だけど、一方的に話を聞くだけなので、勉強会と言った方が近い)するために、往復で5時間くらいかけていくわけです。ブルー入るわぁ。何しろ、東京の路線なんてちっとも頭に入ってない私ですから、駅すぱあとで調べてですね、プリントアウトしてですね。名刺も忘れずにカバンに入れてね。
 一緒に行くのはN係長で、一回行ったことあるよー、(会社の建物が)大きいからびっくりするよー、と言われましたが、本当にビックリしました。なに、このオサレな会社は。ちょっとぉ、これ、ドラマのロケで使えるんじゃない?なんてキョロキョロしてましたが、実際に本当に某ドラマで使われたそうです。事件は会議室で起こってるんじゃない、現場で起こってるんだ!
 が、昨日の私の場合は、全ては会議室で始まり会議室で終わる、ってなもんです。一度行ったことがあるN係長の後ろについていけばいいかなーなんて考えてたら大間違いでした。某駅で降りて、あとは歩いて8分・・・くらい?メールで貰った地図をチラっと見るも、同じ駅からスーツを着た男性がゾロゾロと。
「もしかして、皆、同じところ行くのかな。」
「そうかも。」
とN係長と私は、なんとなくその波に紛れてテクテク歩いていき、途中で左折し・・・。ふと私が、
「おお、コ○ヨが見えてきた。この辺、大きい会社がいっぱいあるね!道の向こう側は日本○運?」
と言うと、N係長が後ろを振り返り、変な声で小さく叫びまして。視線を辿ると、向こうにドーンと、私たちが行くべき親会社の名前が!見えるでは!ありませんか!
「ちょっとぉ。どういうこと?」
「じゃあ、あの人たち(既に先にスタスタ歩いていった)は、どこへ行くんだったのかな。」
慌てて回れ右をして、スタスタ早足になるN係長と私なのでありました。
「そういえば俺、前回来た時、左折はしなかった。」
「今頃思い出すなよ・・・。違うんだよ、私たちは、ちょっと時間調整のために回り道をしたのです。散歩です。決して道を間違ったのではありません。全て計算どおりです。」
「そうだ!計算どおりなんだ!」
 まさか、親会社の人には
「今日、道を間違えちゃって。えへへ。」
なんて言えるわけもなく。せっかく地図貰っといて、何やってんだ、そんな会社に仕事回せるかアホめ、ってなりかねませんから。
 そうだよね、知らない人には付いて行ったらダメって言われていたのにね。まさか大人になってこんなアホなこと仕出かすとは。
 そして、忙しいのは帰りのほうでした。急行が1時間に1本しかないんだもの。乗り遅れたら大変なことになる・・・なのに、乗り換えでホームが分からずもたつく私たち。慣れない革のパンプスに足が痛くて早く歩いてるつもりで鈍足だし。ギリギリセーフでなんとか乗り込み、夕飯を買う余裕もなく8時半に地元に到着。
 あー・・・次の会議は、週末にしてくれないかなー・・・。今朝、疲れが取れなくて(根性が足りない)、犬の散歩が辛かったわぁ。
 ちなみに、夕飯はミルクプリンでした。お昼ごはんはしっかり食べたし、なんだか疲れたし、でも夕飯食べないで寝ると夜中に腹減って起きるかもしれないし、でもガッツリ食べたら美容にも健康にもよろしくないし、と冷蔵庫開けたらミルクプリンがあったのです。美味しかったです。