読み終わった

 

東福門院和子の涙 (講談社文庫)

東福門院和子の涙 (講談社文庫)

 チビチビ読んで、やっと終わりました。なんでチビチビ読むのかっていうとですね・・・。

 この作品は、徳川二代将軍の娘・和子(まさこ)が主役なんですが、その人に仕えた今大路ゆきという女性に語らせるという手法なのです。私、こういう手法の本は、ちょっと苦手。感覚的な問題なんですけどね。で、最初のうちは、なんだか読みづらいなーと思って進み具合が悪かったんですが、和子がお嫁にいったあたりから、話が盛り上がってかなり快調に読めました。
 この和子という人は、史上初めて武家から朝廷に嫁いだ人だそうです。ワタクシ、知りませんでした。何しろ、天皇の奥さんになるわけですから、そういう人は自分で思ったことをあからさまに表現できない。なので、そばで仕えていたユキちゃんが一生懸命に悩んだり怒ったり喜んだり・・・。何しろ、小さい頃から朝廷に嫁ぐために育てられたと言って過言ではない姫さまですが、そこはそれ、やはり御所に行ってすんなり溶け込めるかというと、そういうわけにはいかない。しかも、天皇の周りにいる女官たちが、江戸から来た武家の娘なんかバカにしちゃうわけです。そして、二人の仲を取り持つどころか、うまくいかないように策略するわけです。わぁ、こんなふうになってくると、いやでも話は盛り上がりますね!頑張れ、和子ちゃん!

 傍から見ているだけだったら、天下を取った徳川の、しかも二代目将軍のもとに生まれ、そこから朝廷に嫁ぎ・・・と、一体どこに不満が?という人生でも、やはり悲喜こもごもは付いてまわる。本来であったら、徳川の狙いは、和子が天皇との間に男子をもうけ、その子が東宮となり、いずれは天皇に・・・徳川の血筋が天皇に・・・というものだったはず。しかし、一旦は東宮をもうけるも、幼いうちに亡くなる東宮。その後、和子ちゃんは男子を産むことは出来ず、一旦長女が天皇になり、その後は他の女御が生んだ子が東宮となるわけです。
 しかし、奉公ってのは大変そうですね。良かった、江戸時代に生まれてなくて。