まあいいや

 異様に朝早くから、ゴミ出しをしていく人がいる。近所の野良猫があさって、ゴミを散乱させている。最近は、特に酷い。毎回、必ずゴミが散らかっている。それをいつも、元教員のH先生(もう先生じゃなくなっても、やっぱり先生って呼ばれてる)が片付けてくれている。破けたゴミ袋を入れなおすのだって、ゴミ袋はタダじゃないんだから、積もり積もればそれなりの金額になるんだと思う。誰かが片付けてくれるんだから良いじゃん、という感じで、今まで他の人が片付けているのを見たことがない。でも、それって良くないと思う。文句は言うくせに手は出さないんじゃなくて、手を出すけど文句も言う、という立場でありたい。なので今日は、私がお片づけ。H先生は、別に自分が悪いわけじゃないのに、それを見て『すみませんね。』と仰った。先生は悪くないです。それに、いつもゴミが散らかってるのを片付けてくれて、こちらこそありがとうございます。そんなことをモゴモゴと言う。ゴミを掃きながら、あんまり汚いので腹が立っていたけど、まあいいや、自分で片付けるって決めたんだもんね。
 仕事を引き継いで半年。未だに何かというと、つまらないことまで質問してくる後任。先日は、部品を手配するのに、注文数量はどのくらいにしようかね、必要数はこれだけなんだけど、少し余分に注文した方がいいかなぁ、と訊いて来た。そんなこと、自分で判断して欲しいんだけど。でも訊かれたから、じゃあキリ良くこれだけ注文していいか、係長に聞いてから発注して、と言った。係長は、先の受注が分からないから、もう少し減らして、と指示した。また私のところへ来て、係長はこう言うけど、でも在庫が少ないと不安なんだけど、と言った。不安とかなんとか、貯金をするわけじゃないんだから、係長がそう言ったならその指示に従えば良いだけのことじゃないか。また私のところへ来て、何をどうしろと言うのか。ちょっとイラっときて、
「でも係長は、発注数を減らして大丈夫って判断したんでしょう。だったらそれで注文したら良いんじゃないの?もし変更がでて足りなくなったら、そのときにまた注文して、納期を確認するしか無いでしょう。」
と、少し強い口調で言ってしまった。いつまでたっても指示を仰がないと動けないし、先回りして考えることが出来ない後任にイライラしていて、ついに態度に出てしまった。そういうのは良くない。余計にイライラしてきた。でも、言ってしまったものは仕方ない。まぁいいや、と小さく言ってみた。