半分こ

 さて、買い出しツアー終了したら、ちょうどお昼。さすがの兄貴も起きていた。早速、長崎屋で買ってきた寿司パックを広げる。兄貴、どうやら空腹の模様。一人暮らしが長いくせに、自分でちょっとしたご飯を用意して朝ごはんを食べるということが出来ない兄貴。本日最初の食事らしい。
 寿司は、二人前が一パックになっていて、同じネタが2個ずつ並んでます。私が食卓へ行くまで手をつけないで待っている兄貴がいじらしい、と言えばいじらしい。ちなみに、私が会社から帰るまで夕飯を待っている兄です。先に食べましょう、と母が言っても、いや待つ、と言う。でも、私は兄貴が外出していても、自分が腹へったら先に食べてます。これが、長男と末っ子の差でしょうかね。兄貴は私がウーロン茶を注いだり、醤油を小皿に取っている間に、すごい勢いで寿司を平らげていきます。なのに、なぜか最後の方で手を止める・・・。末っ子で自分の取り分にうるさい私、きっちりネタの数を心の中で確認しつつ、
「あれ?これとこれは兄ちゃんのだよ。」
すかさず腹へおさめる兄貴。うるさい妹をもつと大変ね。
 食べ終わって、食器を流しに持っていく兄貴。しかし、兄貴が部屋にもどったあともノンビリとテレビを見ていた私は、あることに気付いた。兄貴は使った食器の全部を流しに持っていっているわけではない。朝ごはんの残りだったアジのひらき、食べ終わった皿が取り残されている。それを指して、小声で母に
「ねー、どうしてこのお皿は流しに持っていかなかったんだろうね。明らかに食べ終わってるじゃん。」
母は笑って
「目の前にあっても、目に入ってないんでしょ。」
 兄貴が見合いをして、その後どうなのかは聞いてないが、もし、もしも話が進んで結婚することになるなら、手遅れになる前に相手に教えてあげたい。
「自分で使った食器の全部を流しに運ばないような男と結婚しても、後悔しませんか。」
でも、そんなこと言うと、ブラザーコンプレックスの妹が僻んでいると思われるか。やめとこ。