コンビーフ

 私はコンビーフが好きです。でも、カロリー高そうだよね、あれ。油っぽいし。最近はとっとも食べさせてもらってない。(という表現も変だけど)
 会社から帰ると、母が夕食の支度・最後の仕上げ(というほどのものでもないけど)をしていた。そして、既にエサを食べたはずの花梨が妙に母に絡んでいる。いつもは、ちょっと離れたところで見ているか、寝ているかなのに。弁当箱を流しに出すついでに覗き込むと、母の手元に変な開けられ方をしたコンビーフの缶が。付属の金具を使って、周囲から剥くようにクルクルと巻き取っていき、そこからパカっと外してコンビーフちゃんを取り出すはずが、そのクルクル巻き取るのに失敗し、缶きりでこじ開けたらしい。が、四角い小さい缶を缶きりで開けるのって難しい。ものすごーく中途半端なスキマから、ちょっとだけ取り出して使っていた。というか、ちょっとしか取り出せないので諦めた、らしい。
 夕飯が出来るまでヒマなので(手伝え)、残りのコンビーフを取り出すことにチャレンジ。どうも花梨が絡んでいたのは、このお肉の匂いを敏感にかぎつけたらしい。花梨と私の食の好みは酷似している・・・。が、コンビーフは食べない方がいいんじゃないの?が、すがりつかんばかりの態度で媚を売る花梨。お前は面白すぎる。なんとか苦労してこじ開けた缶から、別容器に取り出していると、箸の動きにあわせて花梨の首が上下左右に動いている。うぷぷぷ。
 取り出したコンビーフを冷蔵庫にいれようとする瞬間の花梨の表情は、
「ああああっ!そこに入れる前にヒトクチ!なんか美味しそうなにおいがするの!くれ!くれぇぇぇぇっ。」
という表情。小指の先くらいのひとつまみを、こっそり花梨にくれてしまった。もちろん
「やったぁ、おいちーい。」
って顔してましたよ。