ナナちゃん脱走事件

 今日も今日とて寝ぼけ眼で花梨の散歩・・・を始めた途端、軽やかな鈴の音と共に前を駆けていく若いビーグル。ご近所Tさんちのナナちゃんだ!散歩はおじさんとおばさんが交互にしているんだけど、おじさんも寝ぼけ眼で散歩してるから、すぐにリードを外しちゃうんだよね。前も猫を追いかけたナナに逃げられてたぞ。
 なんだかわからんが、とっさに花梨のリードをおじさんに渡して、走り出す私。スポーツの秋だし。でも、鈍足だけど。一方でナナちゃんは
「オホホホホ、そんな鈍足で捕まえられるものなら捕まえてみなさい!」
という表情で人を振り返りつつも、ずーっと前を走っている。早朝から
「ナナちゃん!ナナちゃん!待て、待つんだ!」
って叫ぶ私と、おじさん。が、おじさんはなぜかしゃがんでるし。休んでるし。花梨は飼い主よりおじさんの方が良いみたいで、ありえないほど尻尾振ってるし。
 おじさんが、
「いいよいいよ、一旦家に戻ってオヤツを持ってくるよ。」
と言うので、花梨のリードを受け取りにおじさんの元へ。なんとなく、花梨を挟んでしゃがみこむ二人。それが、ナナちゃんには、『花梨MMK(モテてモテて困る)』に見えたらしく、慌てて走り寄ってきた。その襟首をムンズ!と掴んだのは私。
 人様の犬なので
「もー、ナナちゃんたら、逃げたらダメじゃないの。」
なんてブリッコしていましたが、これが花梨だったら
「おんどりゃー!逃げるとはナニゴトじゃ。そんなにイヤなら、もう戻らんでもいい!」
と怒鳴るところですよ、ええ。
 おじさんはニコニコしながら
「いやー、ありがと、ありがと。」
って、ナナちゃんに引っ張られながら帰っていきました。そして、飼い犬を放り出してヨソの犬を追いかけた罰なのか、いつになく長い散歩コースを歩かされました・・・。腰がちょっと痛い・・・。
 他にも、E商店のおじさんにバッタリ行き合って興奮MAXだったです。(花梨はこのおじさんが好きで好きでたまらんらしく、このおじさんがうちに配達に来てくれると、ありえないほど切ない声でウオウオウオーと唸る。そして嫉妬にかられた私にイジワルをされてます。変な三角関係だ・・・。)
 そして、E商店の近所のお宅にはクロちゃんというオス犬がいて、この子はいつも門のスキマからご挨拶してくれる。初めて会ったときは、花梨には尻尾を振るのに、私の顔を見て逃げていましたが、おかげで今では尻尾を振ってくれるまでに。でも、なぜか目線は花梨に固定されているので、私の魅力は花梨の足元にも及ばないようです。