ジェラシー

 夕食後、テレビで『大岡越前』を見ていたら、奥の部屋で寝ていたはずの花梨がテケテケと茶の間に登場。母ちゃんにばっかりなついて、私のところへやってきません。
「私も肩を揉んであげるからさー、こっちにおいでよー。」
と言うのに、
「あんたはマッサージがヘタだからいいもーん。おかあちゃんに撫でて貰うんだもーん。」
という顔の花梨。くくく、くそう、何だよその態度。
 おまけに、最近は毎朝、白内障予防の目薬をさしているので、余計に私の近くに寄りたくないみたいです。お前のために目薬してんじゃないかよ。ちなみに、うちの母は薬を飲ませたりするのは苦手です。私は、我ながら薬を飲ませるのは上手だと思う。小さい頃から、口をあーんと開けさせる訓練だけはしてきたので、花梨もそれは観念して口を開けます。
 お前はいいよなぁ、目薬をちゃんとさせたとかさ、薬を飲んだとかさ、そんなんで褒めてもらえてなぁ。人間の大人はな、そんなことでは褒めてもらえないし、給料も上がらんのだよ…。