二人お揃いで

 先日、夕食後ダラダラと片付けていたら、観たいテレビがあると言って、いつになく早く(夕食直後に)お風呂を済ませた母がスッポンポンで横に立ったのですが、何気なく
「最近、オッパイの横のところが痛くてさー。ちょっとシコリがあるみたい。」
と、のたまいました。あっさり言い放ったけど、お母さん、それは割りと大事なことじゃないのかね。で、思わず顔を上げて見ると、母の言うところが、皮膚がつっているように見えまして。
「それは、すぐに検査しないと…。」
 何も花梨と同じに乳にシコリを作らんでも、と思いましたが、そんなのんきなこと言ってる場合でもない。
 私もどちらかというとそうなんですが、母は検診の類が嫌いで、今まで地域で無料で受診できる乳がん検診なんてのも、ほとんど行った事がないのです。私は、会社で健康診断を受けさせられますが、そうでなかったらわざわざ検診なんて受けないだろうな。同じ穴のムジナ親子だ。
 大体、胸にシコリが…ってところで、大抵は外科に回されるんですが、母は抵抗があったようで、地元の厚生病院に女性外来ってのがあったはずだとか、ゴタゴタ言うのです。素直じゃない年寄りは困るよ、まったく。とにかく、予約が必要かもしれないから電話をしなさい、とメモを渡しておいたら、珍しくすぐに電話をしたそうです。が、やはり症状からいうと、女性外来より外科でしょう、と言われたそうです。だから言ってんじゃないの。
 ふと思い立って、かかりつけの内科医に言って相談したら、今は厚生病院は医師不足でテンヤワンヤだから、大間々のK病院にいくといいでしょう、と紹介状をくれたそうです。医者に言われたら素直に決心がついたようです。K病院には専門医が居る(専属じゃなくて、派遣みたいなものかもしれないけど。)ということです。外科のなかでも乳腺外科っていうのがあるみたいですねー。K病院の場合は、乳腺甲状腺ナントカって名前みたいです。
 K病院は会社からもソコソコ近いし、朝の8時から受付ということで、明日は会社に行く前に母を病院に降ろして参ります。私の勤める会社も、8時始業なのです。
 癪に障るのが、母は自分の心配より、花梨の心配ばっかりしてるんです。
「花梨、お母さんが入院なんてことになったら、ひとりぼっちね、カワイソウ。あんたも会社に連れて行ってもらったら?」
うちの会社は、そこまで理解は無いちゅーの。しかも、大人しく待っていられる性格じゃないよ、花梨は。
 しかし、色々と忙しくなりそうだな。