仕事の話

 いやはー、今週は忙しかったです。私にしては珍しく、8時とか9時近くまで残業する日が続きました。
 そんな中、事件は起きたのです。長い話になりますぞ。
 先週も忙しかったけど、今週も忙しいぞぉ、と気合を入れて仕事をしていた月曜日の午後、一本の電話が入りました。
「Iさんって個人名なんだけど…。」
取り次いでくれた同僚が、もしや変な電話じゃないかと、一言くれました。が、もしかすると、K社のIさんかな、苗字が一致するのはその人くらいしか居ないんだけどな、と一応出てみることに。すると、やっぱりK社のIさんでした。
「あぁ、お世話になります。どうもご無沙汰してました。」
ここ数ヶ月は、多少の納期遅れがあっても、注文を出す・納入してもらう、というサイクルだけで、特に品質にトラブルもなかったのです。
「あのね、たじんこさん、実は、K社ね、倒産しちゃったんですよ。」
「とっ、倒産…。」
「それでね、預かってた金型を、急なことで悪いんだけど、明日の午後1時半に、取りに来てもらえないですかね。」
「あっ、明日…?」
 K社は月末が決済日なんだそうですが、先月末に1回目の不渡りを出したところだと。Iさんがちょっとした片づけのために会社に来るのが明日で、他の日は誰もいないので、その日しかチャンスがないと。
 とにかく、他に手はないので了承し、急いで上司に報告です。T係長が外出でいないので、N部長のところへ。
「とととと倒産ですって。明日金型取りに行かないと。」
 実は、このK社で預かってもらっていた金型、いわくつき。最初に立ち上げたときは、S社で作ってもらっていたのですが、私が前任者から引き継いで、S社の担当者も替わり、数回取引したところで、S社の担当者が、
「実は私、急な話なんですが、退職することになりまして。で、御社から預かっていた金型なんですけど、実は当社で作っていたのではなくて、K社ってところが下請けなんですよ。それで、ご相談なんですが、御社とK社で直接取引きしていただくわけにはいかないでしょうか。」
と連絡してきて、それは別に構いませんよー、と手続きを終えたところで、S社が倒産。このときは、経理課からの連絡で倒産が分かったので、生産管理の総括責任者のM常務がブリブリしていたなぁ。あとから考えるに、S社の担当者が退職・下請けを紹介したのは、この倒産がらみだった可能性大で、この日記に時々出てくるN氏などは、
「いい人じゃん。たじんこちゃんへの、っていうかうちの会社の被害を最小限にしてくれたんだねー。」
と言い、そうだねー、と言っていたのでした。この時期は、仕入先にしろ売り上げ先にしろ、倒産が比較的多かった(世の中全体が、そんな感じだった)ので、とにかく情報を集めて来い、管理をちゃんとしろ、と部署内の打ち合わせで色々と怒られたもんでした。でも、難しいよね、よっぽど密な関係じゃないと、そんな情報は得られないよね。だって、取引先にうちの会社が倒産しそう、なんて話、隠すものね。
 あの金型にまつわる倒産、2回目だよぉ…。場所がちょっと遠いので、N部長と一緒に車で金型を取りに行ってきました。それが火曜日ね。こういう場合は、普通は部下が運転手のはずが、N部長が運転手で私は車掌(?)。だって、遠出なんてしないから、高速なんて分かんないんだもん。が、N部長も高速の降り口を間違えてましたよ、ぷぷぷ。が、結果オーライで、順調にK社に着いて、金型をもらえました。で、ちょっと話を伺ったところ、とにかく一回目の不渡りを出した直後、K社の取引先が殺到して、手当たり次第に金型や備品を持ち出したこと。本来なら法律違反の行為ですが、結局のところ、やっちまった者勝ちなんだそうです。Iさんも営業担当で経理のことはあまり係わってなかった為、そんなことは気付かなかったけれど、とにかく自分の車に乗せられるだけの預かり金型を乗せて持ち出したこと。そして、ちょっと落ち着いてから、ことの経緯を説明しがてら、金型をお客さんに返却していってることを聞きました。こんなこと言うのは悪いけど、でも実際に行ってみたら、本当にショボイ会社で、でも、K社は大手企業のC社の部品を作っていたというので、そんなところと取引していても、倒産するときは倒産するのね、と変な感心してしまいました。C社は、誰でも知っている、デジカメとかプリンターとかコピー機とかを作っている会社ですよ。やっぱり、私のような購買担当が、青くなって駆けずり回ってたのかな、なんて。実際は、駆けずり回るというよりは、電話かけまくったってところか。
 やっぱり、倒産ってダメージ大きい。それにしても、ここのところ、仕事についてはアンラッキーが多いなぁ。ふうぅぅぅ。