トイレ立てこもり

 立て篭もりたくて、立て篭もったわけじゃない。文章がくどい。
 本日、取引先にお願いがあり、E社に、T係長およびN係長(同僚N氏でお馴染みの人ですよ)と私にて訪問いたしました。話をつつがなく終え、最後に帰る間際、トイレをお借りしました。会社に戻るまで小一時間かかるので、我慢できないわけじゃないけど、一応…。E社は何回も訪問していますが、トイレをお借りするのは初めてです。
 電気の場所はどこかなーと探したりしつつ、つつがなく用を足し、さて個室から出ようとドアのレバーを引いたら、あれ?開かない。あらやだ、カギをかけたつもりで、カギをかけなかったのかな、とカギの小さいツマミを回したら…いやいや、違うよ。
 ドアのレバーをガチャガチャすること、しばし。…やっぱり開かない。入る前は、ドアが全開していたんです。それを入るとき締めてカギをかけたんです。誰か外側からカギかけてないか?ちょっと焦りだす私。今日は3人揃って出かけてるから、手ぶらでいいや、と携帯すら会社においてきた!誰か、誰か助けてー、ドアが開かないのー。事務所の皆がいるところと、少し離れているから、このままだと皆が気付いてくれるのは…私がミイラになるほど先じゃないとは思うけど。
「たじんこちゃん、遅いな。」
「なんだ、ウンコか?」
「腹下してるんかな。」
なんて会話してたらどうしよー。どうもしないけど、誰か気付いてー。このドア、どうなってんのー?ドアをベチベチと叩いて見たり、壁をドンドン叩いてみたりしていたら、どうやら事務所の方で気付いたようです。
「たじんこさん、出られますか?」
おお、E社の工場長の声だ。
「上に持ち上げてください。」
と聞こえて、それはドアのレバーを通常は下向きに押すのを、上に持ち上げるように回転させろという意味だったのに、ドア自体を持ち上げ気味に開けるのかと思って、よいしょ、と力を入れる私。だって、たてつけ悪いドアは、そんなこともあるじゃないの。ドアを上に持ち上げ気味に…?難しいな、このドアレバーを持って上に…お、開いた!ドアのレバーを上に上げるって意味か。
 ぷはー、出られた!で、手を洗ってソソクサと事務所に顔を出すと、
「このドアのレバー、本当は上にも下にも動くはずなんですけど、あのトイレのドアはちょっと壊れてて、上向きにしか開けられないんですよ。」
と工場長。そういえば、事務所の方も、初めてのときは閉じ込められちゃったそうなんです。私だけじゃなかったんだ。
 その後、帰りの車中で、
「上に持ち上げろって聞こえたから、ドアごと上に持ち上げようとしちゃったよー。」
と二人に言ったら、大きい声で笑われました…。