かけますか

 ソースや醤油の話じゃありません。
 昨日、のんびりと遅めの時間に花梨の散歩を楽しんでいたところ、後ろから来たオバサマが、花梨をマジマジと見て、
「この犬、何ですか。」
 花梨は一応ビーグルということになってますが、血統書があるわけでもなく、また見た目も『誰が何と言おうとビーグル』というほどでもないのです。そもそも、花梨の両親のうち、母犬は血統書つきですが、父犬(と思われる)のは血統書を持たない犬でした。これまたウッカリな飼い主さんで、オスの方はかなり年寄りだったので、メスが発情期を迎えても隔離するわけでなく、一緒に飼っていたのです。2回目の発情期に、血統書つきのオス犬とお見合いさせて…と考えていたら、あら、いつのまにかメスが妊娠してますよ、というわけです。で、前の飼い主さんが、子犬を貰ってくれる人いないかな、とウロウロしていたところに、私と母が遭遇して、花梨の可愛さにほれ込んでしまったというわけです。外見は可愛いけど、ダミアンと名づければよかったと思うくらい、悪ガキだったわねぇ…。
 ま、そんな思い出話はともかく、ごくたまに、花梨の犬種を聞かれることがあるわけで、その都度、簡単にではありますが、経緯を説明して、でへへへ、とか愛想笑いしてたりするのです。が、血統書が無いことについて、バカにしたような発言をしたのは、見知らぬオヤジ一人でありまして、そのオヤジが自転車で去ってから、
「お前の方がよっぽど雑種だ!」
と腹を立てたことがあるくらいで、大抵の人は
「ビーグルか、そうですよね、うん、ビーグルっぽいと思ったんです。」
というコメントです。なので、オバサマにもビーグルに一番近いです、性別はメスです、と言うと、
「うちにもビーグルいるんですよ。血統書もあります。オスなんですけど。」
と言うので、何?血統書が自慢か?うちの子はチャンピオンとか言うのか?と身構えると、いきなりオバサマは
「かけます?」
と。かけます?かけ?何をかけるんだ…?と5秒ほどフリーズした私、やっと意味が分かりました。つまり、オバサマの家のオス犬とうちの花梨とで、子供を作らせませんか、ちゅーことですね?
「いや、いやいや、あのっ、うちの犬は12歳で高齢すぎますし!」
「あら、そうなんですか…。」
「しかも、今までも子供を産ませたことが無いんです、だから、いきなり12歳で子供を取らせるのは、あまりに可愛そうな気が…。」
 それにしても、だな。散歩中に、いきなりそんな話されると思わなかったよ。いきなり失礼じゃんか、と思ったものの、逆に可笑しくなっちゃって、その後の帰り道は一人でニヤニヤ・クスクスしてました。
 花梨、お前、見初められちゃったぞ。ふふふ、羨ましいぞ。私にも
「うちの息子、あなたと同じ年頃なんですけど、どうですか。」
なんて、単刀直入に言う人、出てきたら面白いなぁ、なんちゃって。