あせった

 母の兄、つまり私にとっては伯父が亡くなりました。といっても、私の父の葬式以来会ってない・・・と思う。我が家は親戚づきあいが密ではないのです。
 最初はシカトしようと思ったのですが、アシがない母も通夜や葬儀への出席に大変だろうし、仕事が忙しいから通夜だけ行くことにしました。薄情な書き方に思うでしょうが、確かに私は薄情です。
 さて、母に場所を尋ねると、市内H町のK堂向かい側にあるMだと言います。中に入ったことはないけど、確かに葬儀場があった。なるへそ。ってことで、ちょっと早めに出かけたのですが。駐車場に車があまり無い。でも、伯父もそれなりに高齢なはず。第一線を退いて長い人間の葬儀なんて、よほどのことじゃない限り、多くの人が詰めかけるってこともないよねぇ。しかし、建物の入り口を見ても、ご案内(本日の予定)が何も書いてない。いくら時間が早めと言ったって、何かおかしくないか?中に入っても、人の気配が無い。電気も最低限しかついてない。おかしい。明らかにおかしい。
 受付に呼び鈴があったので、人を呼んで尋ねると、
「本日は、通夜などの予定は入っておりませんが・・・。」
やっぱしぃ?慌てて謝って外へ出て、
「ちょっとぉ!お母さん、お母さんしか連絡受けてないんだからね!どこで通夜と葬式やるって言ってたのよ!ちゃんと思い出してよっ。」
思わず母を怒鳴りつける私。よりによって通夜だよ?葬式だよ?間違っていいことじゃないだろっ。
 予想外の事態に、母もオロオロ。
「そうだよねぇ。私、なにやってんだろう・・・。でも、確かにK堂ってのは聞いたの。」
 私はK堂ってのも良く知らなかったんですが、しかし確かにそれを目印にMまでたどり着いた。じゃあ、そのK堂へ行って見ようじゃねぇか。鼻息も荒く、K堂に行こうとしたら、何かイカニモな看板を発見。わざわざ、K堂への駐車場はこちらって看板だ。おお、これはもしかして、もしかして?その看板は、お葬式の際に良く見かける、**家はこちら、みたいなやつなんですよ。匂う。これは匂うわ。
 その看板に従って、駐車場を見つけて入って、まずは私が降りて偵察。あ、K堂って、私がお茶を習っていたときに年に1回茶会やってたJ寺の中なんだ。ほほー。小走りにそちらへ近づくと、伯父さんの名前発見。よし、ここだ!
 車に引き返して母に、
「ここだよ!」
と知らせると共に、やはり通夜に顔を出すと言っていた長兄の携帯へ電話。留守電に、母ちゃんが場所を勘違いしていたみたいだけど、K堂だから!と吹き込んでおきました。
 せっかく伯母が、K堂ですって言ってるのに、うちの母は、自分が行ったことのあるMというホールだと思い込んでしまったようです。しかし、うちの母も相当ボケてきたわー。