ケーキ屋さん

 いよいよ台風が・・・上陸ですね。母が、
「冷蔵庫がカラッポ(本当は少しは入っている)なんだけど、台風が来るし、今日は早く帰ってこられる?」
と言うので、ちょうど仕事の山も越したところだったので、ぶっちぎりで定時に上がって、自宅によって母ちゃんを拾って、ヤオコーへ買出しに行きました。
 といっても、明日と明後日の分を買えば、土曜日はまた私が週末シェフだし。買い物自体は、さっさと終わったのです。で、カートをカラカラ押しながら店から出るとき、コージーコーナーの前を通りました。そう、あの色とりどりのケーキやお菓子が美味しそうな、あのコージーですよ。いっつも横目にケーキを眺めつつ、コージーのケーキって割と大きめだよなぁ・・・半分の大きさにしてくれないかなぁ・・・そしたら2種類食べられるじゃん。こらこら。
 で、ショーケースの前・通路のど真ん中を塞ぐようにして、小さな女の子が立っていました。ちょっと邪魔だから、声をかけて避けてもらおうかなーどうしようかなー、と後ろから来る母を見たら、カートを押しつつなんとか女の子を避けて通っていたので、まぁいいか、と通り過ぎようとしたんですが。が!その女の子をふと見たら、もうショーケースの上の飾りか何かをガン見して、微動だにしないのです。すぐ横のレジのところから、お父さんらしき人が
「○○ちゃん、こっちに来て!」
って呼んでるのに、全然聞こえてない。
 その真剣な顔を思わずこちらもマジマジと見てしまいました。すげーカワイイ。もう、あの子は小さいマスコットに夢中。多分、そのマスコットがすっごく欲しいんだろうなー。店員さんも笑ってました。
 このコージーコーナーは、ケーキを売っているだけあって、チビッコは気になるみたい。そりゃそうだよね、美味しそうなキレイなケーキがたくさん売ってるもんねぇ。以前も買い物のついでに、母ちゃんにシュークリームをお土産に買って帰ろうと思って店員さんが来るのを待っていたら(うちの母ちゃん、すっかり食欲が落ちちゃって、ご飯を食べたくても、量が食べられなくなってしまったんですよ。だから、栄養的には間違ってるんだけど、とにかくカロリー摂取のために、バナナとかシュークリームとか芋ヨウカンとか、好きなものを時々買って帰ります。おお、たまには親孝行?)、通りすがりの母親とチビ息子二人が。チビ息子二人がケーキのショーケースの前ではしゃいじゃって、
「ママー!ケーキがいっぱいあるよー!」
「うん、そうだねー。でも、今日は買わないよ。毎日ケーキ買えないんだよ。」
とズンズン歩いていく母親。
「でもママー!パパが食べたいって!!」
油断していて、ブホって吹いた、私。きっとママはいつも、パパの要望が優先なのね。パパのためにビール買うの。パパには一番大きいおかずを食べてもらうの。だって、チビ息子と私との生活のために、一生懸命仕事をしてきてくれるんだものね。と、毎日のようにチビ息子に言っているに違いない。でも、パパはやさしいから、例えば一番大きなハンバーグを食べていても、チビ息子にも分けてくれているに違いない。
「パパ、一口ちょうだい。」
って言うと、パパは大抵のものは分けてくれるんだな。ビールはダメだけど。だから、パパがケーキ食べたいって言ってたから、と言ってケーキを買って帰ると、自動的に自分たちにも分け前が来るって思ったんだな。お前たち、面白すぎるわ。
 私、ちょっとケーキ屋で働いてみたくなってきた。学生時代は和菓子屋でバイトしてましたけど、和菓子って、それほどチビッコがガン見で夢中になるほどではない。見た目ではケーキに負ける。ケーキ屋で接客してたら、もしかしたら楽しいチビッコがたくさん見られるかもしれない。