誰か止めて

 朝6時。雨上がりの湿った空気をつんざく、たじんこの怒声。
 先週くらいから、花梨の散歩の時間が早朝に完全にシフトし、私が散歩係に。花梨の体調(心臓)のことを考えると、もはや散歩は行かなくても良い、いやむしろ行かないほうが良い、と思うのです。んがっ、三度の飯より昼寝より散歩が好きな花梨ですので、朝からしっかりスタンバイしてます。散歩に行けないストレスも困るし・・・。
 こっちは、何かあったら・・・とヒヤヒヤしながら歩いてるのに、本人はいたって気にせず、元気に歩いてます。はしゃいんでます。はしゃぐんじゃねぇ!心臓に負担かけるんじゃねぇ!もう2回もぶっ倒れてんだから、自覚しろおぉぉぉぉっ。
 で、今朝、家を出たときにうっかりリードが手から離れてしまったら、それっとばかりに走り出した花梨。こちらをチラリと振り向きながら、うほほほほーと走っていく。追いかけるたじんこ、元々鈍足なのに、老いたりといえども相手は犬、追いつけるのか?しかし、花梨を早く止めないと、心臓が心臓がっ、ぎえええええ。朝の静寂を引き裂くたじんこの罵声。
「こらーっ、花梨待て!待て!待てええい!!止まれつのバカ!アホ!うらあああああ!」
やっと花梨が速度を緩め、リードを足で踏んづけて止め、
「ああっ、捕まっちゃった!怒られるう。」
と身をすくめる花梨にゲンコツひとつくれておいて、そのまま散歩に出かけたのでした。
 本当にさぁ、どうやったら花梨は自分の体に爆弾抱えてることを認識してくれるのかなぁ。あたしの心臓も毎回縮み上がってるんだけど。