5分前行動

 こんな表現はいやらしいとは思うが、私は子供の頃、優等生だった。先生から気に入られるような、素直に言うことを聞く子供だ。成績がずば抜けて優秀だったわけじゃないが、生活態度は良かったと思う。いわゆるワルガキな男の子からは(女の子もか)煙たがられるような存在だ。
 しかし、先生の言うことを素直に聞いていたので、授業の前にはちゃんと教科書とノートを準備し、チャイムが鳴るときには着席していた。そして、それは大抵の同級生がそうだったと思う。休み時間というのは、友達と遊ぶためだけではなく、次の授業の準備をするための時間なのだと、先生から教わった。
 これは、社会人になっても同じことで、始業時間の5分前にはタイムカードを押して、仕事に取り掛かる準備をしておくものだと思う。
 同僚が、上司に出勤時間のことで叱られたと文句を言っていた。その上司は、人の注意をする前に自分のことをどうにかしろ、というような人間である。来客のアポがありながら外出したり、コーヒーをこぼしたあとを掃除せずデスクマットにカビを生やし、ヒマさえあれば・いやヒマじゃないはずのときでも喫煙場所でタバコばっかり吸っている。しかし、上司のアラを指摘するのならば、自分はつまらないことで注意されていたらダメだと思う。8時始業なのに、8時にタイムカードを押してノコノコと机についているようでは、人の批判をする資格は無い。少なくとも、始業前に会社について仕事の準備をしておけ、というのは小学生レベルのことで、入社してから15年になろうとする人間が注意されるような事じゃない。
 なーんてこと、本人には言ってないが、しかし話を聞きながら、開き直ってる同僚に違和感があったのでした。